A社の「S」は、B社の「R」かもしれない
クラブを新調する際、「いつも使っているSより、このメーカーのSRの方がしっくりくる」という現象に遭遇したことはないだろうか。これは気のせいでも、腕のせいでもない。ゴルフ業界には「Flex(S、R、SR、X)」表記に関する統一基準が存在しないという、単純な事実が背景にある。
各メーカーが独自の基準で「S」や「R」を定義しているため、同じ表記でも実際の硬さには大きな幅がある。この曖昧な表記を鵜呑みにしてクラブを選び続ける限り、フィッティングのミスマッチは永遠に解消しない。
振動数(cpm:Count Per Minute)が解き明かす「本当の硬さ」
Flex表記の代わりに信頼すべき指標が「振動数(cpm)」だ。測定方法はシンプルで、シャフトのグリップ側を固定し、先端に一定の重りを付けて弾いた際の1分間あたりの振動回数を計測する。
振動数が高いほどシャフトは硬く、しなり戻りが速いことを意味する。これはメーカーの主観が入り込まない物理的な絶対値であり、Flex表記のような曖昧さがない。ただし、装着するヘッドの重量やクラブの長さによってもcpmの数値は変動するため、同じ条件下で比較することが前提になる。
メーカー別・ブランド別における「Flexとcpmのギャップ」
純正シャフト(軽量系)とカスタムシャフト(ツアー系)を比較すると、同じ「S」表記でも20cpm以上の差が生まれることは珍しくない。さらに海外ブランド(USスペック)は国内ブランドよりも硬めに設計される傾向があり、「文字」だけで選ぶと、意図せず自分に合わない硬さのシャフトを選んでしまうリスクが常につきまとう。
自分の基準となる「適正cpm」を算出し、スペックを揃える方法
自分のヘッドスピード(HS)から導き出される適正cpmの目安を把握しておけば、メーカーやモデルが変わっても大きく外すことはなくなる。一般的にHS40m/s前後であれば230cpm前後、HS45m/s前後であれば240cpm前後が一つの目安とされる(あくまで目安であり、他の要素との兼ね合いも考慮する必要がある)。
重要なのは、ドライバーからアイアンまでの「振動数フロー」を一貫させることだ。番手が上がるにつれて振動数がなだらかに上昇していく設計にすることで、スイングの再現性が高まる。フィッティングショップを利用する際は、必ずcpm測定の実施有無を確認しておきたい。
まとめ:「Flex表記」は目安に過ぎない。数値(cpm)で選ぶのが賢いゴルファー
Flex表記は各メーカーが独自に付けたラベルに過ぎず、絶対的な基準ではない。振動数(cpm)という物理的な数値に着目することで、メーカーやブランドをまたいでも自分に合った硬さを一貫して選べるようになる。次にシャフトを選ぶ際は、「S」や「R」の文字ではなく、cpmの数値を確認する習慣をつけてほしい。

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